糖尿病の合併症
糖尿病性神経症の治療
これまで説明してきたとおり、糖尿病性神経症というものは今すぐに命に関わる障害はほとんどありません。ただし、普段の生活のなかで困ったことを増やしてしまうものなのです。
糖尿病性神経症の治療は、ほかの糖尿病合併症の場合もそうですが、何よりも血糖値のコントロールが重要とされています。血糖コントロールの仕方は患者それぞれで違ってきます。血糖コントロールのほかには、ビタミンB12などビタミン剤を使用したり、あるいは、その他の薬剤を用いることもあります。
ほかの糖尿病合併症と同じように、一般に糖尿病性神経症は徐々に進行するものです。初期であればビタミンB12の薬剤やアルドース還元酵素阻害薬、塩酸メキシレチンなどの薬剤も使用します。しかし、あくまでも治療の中心となるのは、血糖値を極力正常の範囲内にコントロールすることです。この血糖値の管理こそが一番の治療であり進行予防でもあるといわれています。
糖尿病性神経症は、検査などで数値化したり病状の進み具合を評価することが難しいものです。また、明確な対処法がないため具体的な指示を出しにくく、医師からの指導もあいまいになりがちです。しかし、軽く考えずに常に病状の悪化を警戒していなくてはなりません。
糖尿病性昏睡
これまで説明してきました通り、糖尿病はいろいろな恐ろしい合併症を引き起こすことが知られています。これらの合併症は、普通は徐々に体をむしばんでいくものですが、高い血糖値が続くとそのことだけでも重篤な合併症を招くことがあります。
糖尿病性昏睡といわれる状態があります。これも合併症の一種ですが、これは高血糖による場合と本来弱酸性であるはずの体が酸性に偏ることから起こる場合があります。その発病機序はかなり複雑なのですが、どちらも致死率の高い危険な合併症です。ますは発症そのものを予防することが最も重要になってきます。
では、この糖尿病性昏睡とはなんなのでしょう。それは患者それぞれに違った発症理由があり、一概には言えません。特に注意しなくてはいけないのは、インスリン治療やほかの薬剤治療を受けている人たちです。これらのインスリン、または薬剤摂取を怠ったり、分量を間違えた場合に糖尿病性昏睡に陥る可能性が高いのです。
ほかにも糖尿病にも関わらず、過度に不規則な生活を送ったり、食生活が乱れる、ストレスや睡眠不足が続くとこのような状態になることもあります。また、別の病気にかかると体の抵抗力とバランスが失われて糖尿病性昏睡が発症する原因にもなります。
症状としては、重いと昏睡となりますが、初期には極度な口渇感、持続する脱力感、急激な体重減少などとして現われる場合もあるので十分注意してください。
糖尿病性腎症
「肝心」という言葉がありますが、これは「肝腎」ともいい、人の肝臓や腎臓という臓器から来ている言葉だといわれています。肝臓や腎臓は人の臓器のなかでも特に重要な機関、肝心要の機関なのです。
人は体内で燃焼・使用するなどして不必要となった老廃物を腎臓でとりわけ、尿として捨てています。腎臓という臓器の役割はこれだけでなく、同時に血液中や細胞液の電解質バランスを保つ働きも担っています。また、血液自体を作る命令は、腎臓からホルモンとして分泌されているものです。糖尿病性腎症は、こういった一連の腎臓機能をむしばんでしまう病なのです。
普通この合併症は、糖尿病として認められ血糖値の異常が出現してから数十年後に発症することが多いといわれています。ただし、糖尿病性神経症に比べ個人差が大きいといわれ、普通よりも早い時期に発症したり、逆に血糖コントロールがいくら悪くても平気という人もいるようです。しかし、油断することのないようにしましょう。
初期症状は尿にたんぱくが混じるなどの症状として表れます。徐々に進行すると、体のむくみとなって現われ、人工透析を必要とする状態に進展します。予防としてはまずはなによりも血糖コントロールを怠らないこと。また、タンパク質の摂取を制限する方法もあります。
糖尿病性網膜症
糖尿病の合併症として、最も広く知られているのは失明などの目の障害でしょうか。やはり光を失うことは生活をいっぺんさせるどころか、人生を大きく変えてしまうものだといえるでしょう。それだけに、十分な治療と予防に関する正しい知識が必要といえます。糖尿病によって引き起こされる目の障害を糖尿病性網膜症といいます。
水晶体というカメラでいうところのレンズ部分を曇らせているのが白内障です。糖尿病の合併症としては網膜症が有名です。網膜はカメラでいうところのフィルムにあたるもので、外界からの光が最終的な像を結ぶ部分です。
網膜は光を感知している部分で、角膜や水晶体を通して入ってきた光が眼のレンズを通してここに集結します。網膜には脳に繋がっている無数の視神経が集まっていて、この神経から光を信号に変えて脳に伝えます。
したがって、この網膜が侵されると光の像が脳に伝えられなくなるということを意味します。糖尿病で網膜が侵されるのは網膜には血管が走行していて、血糖によってこの血管が障害を受けるためです。目は脳の一部という話もありますが、脳と同様、網膜部分の血管も大変血糖の影響を受けやすい部分なのです。
予防には血糖コントロールはもちろんのこと、血圧のコントロールも重要になってきます。
