レアメタルとは
レアメタルとベースメタル(コモンメタル)
言うまでもなく「メタル」とは「金属」を意味しています。コモンメタルもレアメタルも、ある種の特徴を持つ一群の金属を指す言葉です。私たちが通常「金属」と言われてイメージするものと言えば、例えば鉄、銅、アルミニウム、亜鉛、鈴、銀、鉛などの種類のものでしょう。これらの金属は、大昔から現在に至るまで幅広く使われてきました。現在もあらゆる産業のベースとして使われる金属であることから、ベースメタル、あるいはコモンメタルと呼びます。
これらベースメタルは地球上に多く存在し、存在している場所が地球上の各地域に広く分布しており、比較的取り出すことが容易で(高純度の鉱石が存在し、精錬が容易である)あることが特徴です。つまり、コモンメタルとレアメタルとでは、正反対の性質を持っているのです。
コモンメタルは人類の歴史の中で古くから登場しており、もっとも古い銅は約6000年前、鉄は約4000年前から使用されていたといわれています。つまり、そうした太古の技術であっても容易に製錬し、使用することができる材料だったわけです。コモンメタルは現在も世界中でさまざまな用途で使われ続けています。こうしたコモンメタルに対して、レアメタルと呼ばれる一群があるのです。
レアメタルの広義と狭義
レアメタルの定義については国際的に定まったものはありませんが、一般的には非鉄金属のうち、地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由その他によって抽出困難であるなど、流通量・使用量が少ない鉱種類をさすものと考えられています。また、狭義では、鉄・銅・亜鉛・アルミニウムなどのベースメタル(コモンメタル)や、金・銀などの貴金属以外で、産業に利用されている非鉄金属を指すとされています。
そもそもレアメタルの「レア」は英語の「RARE(レア)」=希少な、希薄な、まれな、という言葉ですが、学術的に定義された言葉ではなく、どの元素をレアメタルと呼ぶかということについてもコンセンサスはないのです。最近では、speciality chemicals(特殊化学製品)の派生語として、speciality metals (特殊金属)という言葉も使われつつあります。
日本では、経済産業省の定義に従って、47の金属元素をレアメタルと呼ぶケースが多くなっています。17種類の希土類元素(レアアースと呼ばれる)を1種類とカウントして31元素と数えることもあります。自然界に存在する元素は89種類ですから、半分以上の元素がレアメタルということになります。
工業用需要が予測されるレアメタル
日本では、一般的には現在工業用需要があり今後も需要があるものと、技術革新に伴って今後新しく工業用需要が予測されるもの31鉱種(うち、レア・アースは17鉱種をまとめて1とカウント)をレアメタルと呼ぶことが主となっています。レアメタルは、ITや自動車などの日本が得意とする産業分野、つまり日本のリーディング産業で原材料として使われており、世界における日本の産業競争力を支えているといっていいでしょう。
レアメタルは、消耗性の資源であることに加えて、その名の通り希少性も高く、産出国も中国やロシア、南アフリカなどの少数の国や地域に偏在しています。レアメタルは、それぞれ金属によって、耐熱、耐食、磁性、蛍光など個々の特徴をもっています。こうした特徴を活かして、製品の高性能・高機能化を図る上でなくてはならない原料となっています。
レアメタルのもつ機能に由来した技術革新は、私たちの生活をより豊かにするだけではなく、構造物の耐久性を向上させたり、電気・電子機器のエネルギー効率を高めたりするなど、既存の技術への効果も期待されます。
レアアースとは
レアメタルと呼ばれるもののうち、希土類元素、=レアアースは、化学的性質がよく似ているランタンやルテチウム、ランタノイド、スカンジウム、イットリウムなどの17種類の元素のことです。
理科で習う「元素の周期表」の下の方に帯状にまとめて並べられているのが希土類元素、あるいはレア・アースと呼ばれるグループです。
レアアースの元素同士は性質がよく似ているので分離・分析することが困難です。鉱物中から一団となって発見されますが、分離精製には非常に高度な技術が必要となります。そこで、レアアースは多くの場合に、鉱石中の希土類金属をまとめて還元した合金状態で使用されます。酸化物状態での希土類の混合物を混合希土、混合希土を還元・精製したものをミッシュメタルと呼びます。
ミッシュメタルの状態だと、レアアースそれぞれの元素ごとの分離コストを省くことができるので、採算性をあげることができます。レアアース自体は、「レア」という名前からイメージするほどレアではなく、貴金属(金や銀など)に比べると、地球上に存在する割合は多いのですが、1つ1つの分離精製が困難であるという以上の理由から、現在においてもレアであるとされています。
レアアースに含まれる元素
レアアースに含まれる元素の種類は次の通りです。
ランタノイド=ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の17元素です。ただし、プロメチウムは天然には存在しません。
レアアースは個々の元素が非常によく似た性質を持ち,一つの集団のようにとらえられる一方で,それぞれが非常に個性的な特徴を持っています。場合によっては、数%添加するだけで、元々の素材の持つ特性を劇的に変化させたり、あたたな機能を付加することもあります。
多くは、チタン鉱石や鉄鉱石の副産物として産出し,中国やオーストラリア,インドなどに偏在しています。このうち,中国がレア・アースの世界の産出量の9割を占めています。一方で、希土類元素の世界需要の約半分は日本が占めており,その大部分を中国からの輸出に頼っている状況です。
レアアースの工業用利用価値とは
レアメタルの中でも特に最近、機能性素材の原材料として注目を浴びているレアアースが最初に工業用に用いられるようになったのはガスマントル製造工業でした。20世紀初頭にはライターの発火石としてレアアースが使用されたそうです。当時、レアアースの分離・精製は困難だったので、多くの場合に多種のレアアースを含有する希土類混合塩や、ミッシュメタルの状態で利用されました。今度ますますその利用が期待されている大きな可能性を秘めた資源であると言えます。
自動車、家電製品、携帯電話、パソコン、カメラなど、我々の生活のいたるところでレアアースは利用されており、現代社会にとってはなくてはならない存在です。例えば昔「キドカラー」というカラーテレビがありましたが、そのキドは希土類の希土からネーミングされたそうです。ハイブリッドカーの心臓部であるモーターには、ネオジムと鉄からできた磁石が使われています。
希土類を使用すると、磁力の強力な小さな磁石を作ることができるので、モーターを小さくすることができるのです。パワーウィンドウなどにも希土類磁石が使われています。ハード・ディスクの磁性材料やセラミックス,レンズ,2次電池などの材料としても使われています。レアアースを有効に活用していくことで、新たな技術革新や、構造材の耐久性の向上、電子機器におけるエネルギー効率の向上など、従来の技術の飛躍的な効果を生み出すことも可能と考えられています。
