レアメタルの特徴と用途
レアメタル資源と使用量
地殻に存在している量が同じでも、それぞれの金属によって使用量は異なります。それは、役に立たないもの、製錬や加工がしにくいものは資源としてはあまり使わないからです。つまり古くから使われている金属は、有用で、なおかつ製錬や加工が比較的容易に行えるという共通点を持っていると言えます。
レアメタルは、その名前が表すように「希少」な金属と考えられていますが、資源的には必ずしもレアであるとは限りません。実際、資源としては豊富にあるものもたくさんあるのです。チタン、マンガン、クロムといった、地殻中に大量に存在する元素もレアメタルとされています。航空機の材料としても使われているチタンは、資源的にはほぼ無限と言ってもいいほど豊富に存在する元素のひとつです。
しかし、酸化物として大量に存在する鉱石の精錬に高度な技術が必要で、製造が難しい金属なのです。チタンの鉱石は鉄やウランと混ざり合っていることが多いのですが、鉄を取り除くためには大きなエネルギーが必要で、ウランは取り除いた後の処理が困難であることから、チタンはレアメタルと呼ばれています。一方、歴史的経緯から、古くからの貴金属である金、銀はレアメタルとは呼ばれません。
最近、注目を浴びているレアメタルの1つであるインジウムは、これまではこれといった用途もなく使い道がありませんでした。しかし技術革新の結果、フラットパネル式のテレビの液晶パネルの透明電極に使われるようになったため、急激に使用量も伸びています。
レアメタルの産出シェア
レアメタルの大きな特徴の一つであり、多くのレアメタルをめぐる問題の根底にあるのが「偏在性」の問題です。レアメタルは、消耗性の資源であることに加えて、希少性が高いものも多く、生産が一部の国や地域に偏っています。たとえば、世界の産出シェアを見てみると、レア・アースやタングステンの9割以上が中国で産出されていますし、南アフリカではプラチナの8割近く、バナジウム4割やクロム4割、マンガン2割なども同様に産出しています。
最近では北朝鮮なども多くのレアメタル資源が眠っている可能性があるとして注目されています。カザフスタンやアフリカ、東南アジアなど、レアメタルの埋蔵に関して詳細な調査が行われていない国や地域もあり、今後新しく見つかる可能性は残されています。
しかしながら、このようにレアメタルは産出国が一部の国や地域に限定されることから、輸入国・消費国は産出国側の生産計画や国家戦略などのさまざまな要因によって、大きく影響を受けざるを得ません。また、産出国における紛争や鉱山事故、自然災害、労働争議などによって突然深刻な供給障害が生じる危険性もあります。
副産物として生産されるレアメタル
レアメタルは、銅や亜鉛、ニッケルなどのベースメタルの副産物として生産されるケースが多いことも特徴の一つです。それ自体が採掘の対象となるベースメタルなどの資源と異なることから、その供給量は主産物の生産量などによって大きく左右されてしまいます。このため、副産物として生産されるレアメタルは、主産物として生産されるものと比べて、供給は安定しにくいという傾向があります。
主産物として生産されるレアメタルの例としては、タングステンやレアアース、ニッケル、クロム、マンガンなどがあります。一方、副産物として産出されるレアメタルの例としては、たとえばコバルトは銅・ニッケルの副産物として生産されますし、モリブデンは銅の副産物として、インジウムは亜鉛の副産物として、ガリウムはアルミニウムや亜鉛の副産物として生産されます。このように副産物として生産されるものの中には、近年急激に需要が伸びているものも含まれています。
その他、主産物の場合も、副産物の場合もあるものもあります。また、以前は副産物としてのみ生産されていた鉱物でも、需要の拡大により最近になって主産物として生産されるようになったものもあります。たとえばプラチナは、昔は銅やニッケルなどの副産物として生産されていましたが、最近では南アフリカなどの専用鉱山から主産物として採掘されています。
レアメタルの製品利用
レアメタルは、製品中の含有量はごく少量であることが多いのですが、その製品の性能上、とても重要な役割を担っている部品などに使用されているケースが多くあります。日本の産業の基幹となっているハイテク製品の製造にとって、レアメタルは必要不可欠なものです。
パソコンや携帯電話に使う半導体などの電子部品をはじめ、AV機器、エアコン、テレビなどの家電製品、自動車、電子基盤の加工に使う超硬工具など、レアメタルがないと製造できない製品が数多くあります。ものづくりの国である日本にいくら高い技術があったとしても、原料ができなければものを作りだすことはできません。もしそうなれば、日本の産業にとって危機的状況となってしまい、ひいては国家的な危機にも発展しかねないのです。
限られた資源であるレアメタルをより有効に活用していくことは、日本の産業競争力維持のためにも、そして私たちの豊かで便利な生活を維持していくためにも重要な課題です。そしてその課題は、国や政府、関係機関、企業やメーカー、商社などだけのものではなく、私たちひとりひとりが理解し、意識を高め、取り組んでいかなければならないものなのです。
レアメタルの4つの用途
レアメタルの用途は多様です。ここで主な用途を大きく4つに分けてみてみましょう。特殊鋼・・・鋼の強度、耐熱性、耐腐食性、加工のしやすさの改善など、ベースとなる鉄鋼に様々な機能を付加させるた特殊鋼等の合金添加原料としてレアメタルが利用されているいます。
電子材料・・・半導体、リードフレーム、コネクター、透明電極、振動モーター、コンプレッサー、ハイブリッド自動車、小型燃料電池などに使用されます。
精密加工機械・・・小型情報通信機器製造のためのカッターやドリルなど、非常に高い精度が求められる部品を加工するための精密加工機械で、デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコンなどの製造には必須ですし、意外なところではボールペンのボール、ビールの缶、ビデオテープなどもこのような精度を持った工作機械によって製造されます。
環境・エネルギー・・・自動車排気ガスの浄化に使われる触媒、燃料電池、光触媒などの性能を高めるためにはレアメタルが必要ですし、二酸化炭素の吸収・固定を行うリチウムやチタン等。熱を電気に変換する熱電発電で使用されるコバルト、アンチモン等など、レアメタルは、環境・省エネルギー関連技術、将来の日本経済の発展を支える産業分野においても非常に重要です。
幅広い分野で利用されるレアメタル
レアメタルはその様々な特性を活かして、自動車・住宅・電気・電子、航空・宇宙の幅広い分野で使われるほか、形状記憶合金、水素吸蔵合金として、IT関連分野や環境保全の分野などにも利用されています。他の元素との合金として高機能・高性能先端技術の核を担う原料であり、半導体、磁性材料、超電導などの原料として、電子工業や新金属といった先端技術での需要も多くあります。
ものづくり国家であり、高度なハイテク技術を誇る日本は、こうした分野の産業が栄えていることから、世界全体のレアメタル需要の約2~3割を占めている一大消費国です。レアメタルは私たちの社会にとって、なくてはならない存在となっているのです。
レアメタルが大きな役割を果たしている、あるいは、今後果たすであろう身近な製品や分野の例として、自動車産業があげられます。現在の自動車製造にはレアメタルが必要不可欠です。従来の自動車にせよ、開発中の省エネ型あるいは低環境負荷型の自動車にせよ、その原料としてレアメタルなしには製造することができません。今度、どのようなタイプの自動車の製造が増えるにせよ、レアメタルなしには生産できないのです。
レアメタルの特性による製品利用
タングステン・インジウム・コバルト・プラチナ・レアアースなどのレアメタルは、それぞれの持つ様々な特性によって、製品中の含有量が少量であることが多いものの、極めて重要な機能を担う部品などとして、IT・自動車など、幅広い産業分野で利用されており、日本の産業競争力を支えています。私たちが直接目にすることはあまりありませんが、身近な家電製品や電子機器などにも使われています。
ハイブリッド車や燃料電池車の高性能モータには希土類磁石(ネオジム・鉄・ボロン磁石)が、各種二次電池ではコバルト、マンガン、ニッケルが使われています。
液晶パネルの透明電極にはITO材(インジウム・錫・酸化物)、超硬工具にはタングステン、コバルト、モリブデンなど、液晶用ガラスの研磨剤にセリウム、電子材料にジルコニウムなど。
自動車用排ガス触媒には、プラチナ、パラジウムなどの白金族が使用されています。低公害車用として研究開発が進められている燃料電池の触媒にも使われています。日本では、レアメタルの最大の需要先は鉄鋼業です。ステンレス鋼や、耐熱性・耐食性などの特徴をもつ特殊鋼には、さまざまな種類のレアメタルが原料として添加されています。
